一行書いてはアレがわからんコレがわからんとGoogle検索を繰り返しつつ第一稿を書き上げたのは3月中旬。締め切りの1週間前でした。残り時間的にもうシナリオ・センターの添削に入れることはできないので一切の推敲は自力で行わねばなりません。
しかし添削なんか些細な問題でした…規定を大幅に超過していた枚数に比べれば。
S1グランプリ2時間ものの枚数上限はペラ(20字×10行)230枚ですが、『ご家老様の贋札』第一稿は312枚あったのです。82枚、時間にして40分程度もの超過です。
原因はこれも時代劇に不慣れのためト書きの文章表現が回りくどくなっていたことでした。なので削り作業の方針その1は全体に表現をシェイプすること。
方針その2はシーン単位・シークエンス単位で外せる箇所を探すことですが、ここで役に立つのがハコ書きです。
写真は以前に説明した小バコの用紙の方なのですが、16分割で点線の切り取り線を入れてあるのがここで役に立ちます。作品全体を俯瞰して要らない箇所を特定し、文字通りの切った貼ったの作業を行うわけです。第一稿には花札職人の主人公が鉄火場で一稼ぎするシークエンスがあり、片羽が博打のルールに疎いものでト書きもまどろっこしく冗長になっていたのですがこれを丸々削除しました。これで30枚近くの軽量化に成功しました。
さて後は方針その1の地道な削りを時間の許す限り実行するだけです。まだ50枚程度の超過分があるので行数にすると1000行。280枚から各ページ3〜4行ずつ削ればよい計算になります。
こうなるともう逃げ場なしのガチンコ勝負で、段落の最終行が2、3文字しかないような箇所を見つけては表現を変えて字数を減らし1行削減していたあたりまでは理性と記憶があったのですがその先は何をどう削ったやら全く覚えていません。本当に覚えていません。
そんなこんなで枚数が規定内に収まったのは提出日(締切2日前。S1は締切日必着なので地方在住者は2日前に郵送しなくてはならない)の前々日。226枚になりました。86枚、削りも削ったり。
提出前夜に全体を通読して誤字・脱字のチェックを行い、そのまま寝ずに最終プリントアウトと綴じ作業、そして郵送を終えた片羽はジャスコで酒をしこたま買い込んで帰宅し、痛飲の後爆睡しました。当分シナリオのことは考えたくない。(『ご家老様の贋札』執筆記・完)
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