2012年09月26日

『ご家老様の贋札』執筆記(その12) 閑話休題〜バブルへGO!!〜

 2011年秋。福岡藩贋札事件の史実関係の調査を一通り終えた片羽ですが、よく考えると観た時代劇の本数が多くないことに気がつきました。浅田次郎の『壬生義士伝』は原作・ドラマ版ともに大好きで片羽にとって幕末史の入門編となったのですが、あとは『子連れ狼』と『戦国自衛隊』しか知らん。これじゃ駄目だと大慌てで向かったGEOの時代劇コーナー。狙いは片羽の小中学生時代の楽しい大晦日を彩った、当時内容を何一つ理解せぬまま観ていたあのドラマ達でした。

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 大晦日といえば格闘技…の時代も終わってしまったようですが、格闘技の前は年末年始のテレビといえば時代劇でした。年初にあたって皆来し方行く末に思いを巡らせたのか数日間の和食生活がサムライの記憶を呼び起こしたのかわかりませんが、都合5時間程度の大作時代劇ドラマが前後編で2夜に分けて放映され好評を博していたのです。
 そのはしりとなったのが1985年から始まった日本テレビの「年末時代劇スペシャル」シリーズで、紅白歌合戦の牙城を打ち崩し大晦日の視聴率に乱世を到来させたテレビ史に残るドラマ群でした。シリーズの多くが幕末ものという点が今回まず片羽的に好都合だったのですが、1980年代ならではの熱さと好景気ゆえの丁寧な作り込み、そしてCGでない実写特撮も個人的にポイント高く、『ご家老様の贋札』執筆にあたって一つの指標作品として選んだ次第です。あと堀内孝雄やさだまさしの歌う主題歌が心に沁みます(片羽がアラフォーだから)
 以下近所のGEOで借りられた作品をご紹介。

『白虎隊』(1985年 主演:森繁久彌 監督:斎藤武市 脚本:杉山義法)
 いわゆる会津戦争を描いた作品です。風間杜夫演じる会津藩主・松平容保京都守護職として幕府を守り尊皇攘夷派を取り締まるのですが、大政奉還後の戊辰戦争で朝敵とされ会津藩は新政府軍の全面攻撃を受けます。
 タイトルの白虎隊は圧倒的物量を誇る新政府軍に抵抗するも力尽き自刃した会津藩の新兵たち(10代半ば!)です。森繁久彌が主演になっているのは白虎隊を育て上げた指導者として語り部的立場で。
 会津藩士は新兵どころか女子供まで武器を手に徹底抗戦の末、降伏後は会津の地を追われ斗南藩(青森県東部)に転封となり寒冷地で多くの餓死者を出しました。福岡藩主も何十人も処刑して佐幕派を決め込んだならいっそここまでやってれば…と思わんでもない。
 主題歌は堀内孝雄の『愛しき日々』。これ聴いただけで涙が出てきます。

『田原坂』(1986年 主演:里見浩太郎 監督:斎藤武市 脚本:杉山義法)
 拙作にも登場する西郷隆盛の一代記です。詳しくは前回をご参照ください。ちなみに福岡藩贋札事件は瑣末な事件すぎるのか出てきませんでした…。
 主題歌は堀内孝雄の『遥かな轍』。これも泣けます。「こうとしか生きようのない人生がある」…拙作の福岡藩士たちにも通じるテーマです。

『五稜郭』(1987年 主演:里見浩太郎 監督:斎藤光正 脚本:杉山義法)
 函館戦争を描いた作品。徳川幕府の海軍副総裁・榎本武揚が戊辰戦争で各地で敗走した幕府側の武士たちを糾合し、北海道は函館の要塞・五稜郭に立て籠もり独立国を作ろうとしますが、新政府軍に徐々に追い詰められ包囲されて最後の決戦の時を迎えます。渡哲也の土方歳三がガトリング砲を乱射します。
 主題歌は今回からさだまさしで『夢の吹く頃』。これの流れるオープニング、五稜郭の空撮映像だけで泣けます。

『奇兵隊』(1988年 主演:松平健 監督:斎藤武市 脚本:杉山義法)
 長州藩士・高杉晋作の一代記です。幕府による第一次長州征伐を受けて揺れる長州藩にクーデターを起こして藩論を勤皇で統一。薩長同盟を経て力を蓄え、第二次長州征伐で幕府軍を敗退させて倒幕運動を全国に波及させますが、大政奉還を見届けることなく夭逝します。
 細面のイメージが強い高杉晋作を松平健が演じているのでかなり違和感があります。奇抜で過激な振る舞いも何だか『花の慶次』な感じなのですが…これはこれでありかも。
 主題歌はさだまさしの『冬の蝉』。夭逝したとはいえ高杉晋作は勝ち組なので泣けはしない。でも彼の尖った、しかしはかないイメージを良く表していると思います。

『忠臣蔵』(1984年 主演:里見浩太郎 監督:斎藤武市 脚本:杉山義法)
 舞台が幕末ではないので最後の紹介となりましたがこれがシリーズ1作目。古今東西忠臣蔵ドラマの最高傑作です(断言)。実は片羽は家老の奥方の描き方がさっぱりわからなかったので本作の大石内蔵助の妻・大石りくを参考にしました。
 主題歌は堀内孝雄の『憧れ遊び』。以降のシリーズの雰囲気というか世界観を形成した名曲です。

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 以上5作品で都合25時間ほどですが、NHK大河を何本も観ることを思えばインスタントなもの。「幕末を舞台に時代劇を書きたいけど歴史に詳しくないし…」なんてお悩みのアナタ、この5本を見れば幕末時代劇は書けます!書けるのです!堀内孝雄とさだまさしで熱い80年代マインドも仕込めるし良いことずくめです。是非ともご鑑賞ください。(その13に続く)


posted by 片羽國雄 at 03:56| Comment(0) | シナリオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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