2012年08月25日

『太陽の牙 ダグラム』(中編)〜信念と汗と〜

 『太陽の牙 ダグラム』最終回を観終えて熱い気持ちが残っているうちに後編中編を書いちまいましょう。『ダグラム』真の主役、政治劇担当の渋いオッサン達について!
 まずは植民惑星の独立を目指す解放軍のリーダー、サマリン博士。髪もヒゲも真っ白なお爺さんですが頑健そうな体躯と眼鏡の奥の鋭い瞳が頼もしげです。
 本作では悪者の地球側リーダーで主人公の父親、ドナン・カシム。こちらも白髪のお爺さんなのですが、為政者として地球人を飢えさせてはならんとの確固たる信念を持った支配者でした。
 オッサンに含めるのは疑問なのですが『ダグラム』で一番人気の悪役ラコック。金髪で眉目秀麗の白人青年です。前述のドナンの補佐官(秘書?)として登場するも独立戦争の進行に乗じて野望を露に権謀術数、両陣営をかき回し混乱に乗じて政府内での地位を手に入れて行きます。老獪なんだからオッサン扱いで問題はあるまい。片羽は彼の勝利で物語が終わると本気で思っていましたが、まさかあんな事になろうとは。
 ………とここまでは外せない主役級の、善悪は別にして己の信念をブレずに貫いた超人たちの紹介でした。しかし片羽の真のお気に入りはここから。ナンバーワンになりきれず、あるいは状況に迷い流され、果ては心折れ。そんな中年の悲哀感溢れる真のオッサン達を紹介していきます。
 まずはバックスさん。…本稿の中で一番地味で目立たない人物だと思いますが、サマリン博士の配下で武器の調達を手掛けていた、これまた白髪ですが壮健なオッサンです。線でしか描かれない細い(クリント・イーストウッドをイラストで描いたような)目に内面の安定が表れていて頼もしい感じです。物語終盤、絶望的な劣勢になった主人公と仲間たちを物心両面で支えてくれました。片羽はこんなオッサンになりたい!サマリン博士は無理でもバックスさんにならなれるかも…って甘いか。
 続いてはカルメル氏。小太りでドングリ眼に団子鼻のボンクラです。彼も解放軍の幹部だったのですが攻勢にあって組織の維持を重視する慎重な気質を策士ラコックに付け込まれそそのかされ、サマリン博士を更迭して解放軍のリーダーに収まり、前線の兵士そっちのけでラコックと和平交渉を始めます。そのため解放軍は勝機を逸して武装解除、主人公はダグラムを没収され、植民惑星はラコック主導で形ばかりの独立を与えられる羽目になります。全くアニメ史上に残る要らん事しぃです。
 しかし最終回でこのボンクラは輝きました。真の独立を願い抵抗を続けるダグラムチームはラコック指揮下の軍隊の猛攻に殲滅される寸前でした。しかし形骸であれ独立した国家での乱暴狼藉、露骨な内政干渉にカルメル氏も堪忍袋の緒が切れ、勇気を振り絞って配下の軍勢(解放軍は武装解除した筈だが残存戦力?)を出動させラコック側と対峙させます。結果、戦闘行動は一時中断し主人公と仲間たちは九死に一生を得、さらにここで予期せぬ出来事が発生して真の独立までもが達成されてしまうのです。
 カルメル氏が棚ボタで得た満貫の成果もさることながら、片羽が凄いと思ったのは彼がラコックとの対決を決断する最終回の1シーン。電話越しのラコックとの直接対決でいいようにあしらわれてしまうのですが、その直後滝のように汗を流しながらしばし逡巡し、再び電話の受話器を取ると配下の軍隊に出動を命じます。いや顔の汗が本当に凄いのです(表情の作画も凄いですよ)。全くアニメ史上に残る汗っかきです。
 ここまで迷い続け判断を誤り続けたオッサンには片羽も非常に親近感を覚え……たくなかったのですが、シナリオに常々求められる「葛藤」というものを見事な汗で見せてくれたのと、最後に拾ってしまった大金星に免じて、カルメル氏も片羽のエイジングの一指標とすることにします。
 さてカルメル氏で熱くなりすぎました。どうしても語らねばならないオッサンがもう一人いるというのに、です。賢明な読者の皆様はもう誰のことかわかりますね。…ではまた明日…


ラベル:ダグラム
posted by 片羽國雄 at 04:51| Comment(0) | アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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